お知らせ

産業医通信 2022年10月号

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします。

Contents

夜間高血圧に注意

お肉(牛・豚・鶏など)はしっかり焼いて食べましょう

糖尿病について

乳がんについて

 

夜間高血圧に注意

夜間高血圧とは、(正常であれば、夜に眠っている間の血圧が1日の中でもっとも低い状態になっているのに反して)夜間に血圧が高い状態が維持される状態で、収縮期血圧が120mmHg以上かつ/または拡張期血圧が70mmHg以上の場合をいいます。
夜間高血圧には、夜間昇圧型(昼間より、夜間のほうが血圧が高くなるタイプ)と夜間非降圧型(夜間に血圧があまり下がらないタイプ)があります。
どちらも、本来なら身体が休息する時間帯にも心臓や血管が働いている状態が続くので、心臓や血管に大きな負担がかかり、心疾患や脳血管障害のリスクが上昇します。
夜間高血圧を引き起こす原因としては、自律神経障害、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害、心不全や腎不全、脳の病気(認知機能低下、脳血管障害など)、抑うつ状態などがありますが、特に自律神経障害が代表的な原因として挙げられます。
本来、夜間は副交感神経が優位になるため、血圧は低くなりますが、自律神経に異常が起きると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、夜間も交感神経が優位になり、常に血圧や脈拍が高い状態で維持されることになります。心理的ストレス、疲労、生活習慣の乱れなど自律神経障害の原因を取り除くことが必要となります。また、深呼吸や適度な運動、質の良い睡眠を心がけることも重要です。

本行Dr.

 

お肉(牛・豚・鶏など)はしっかり焼いて食べましょう

牛や豚などは、腸管出血性大腸菌やサルモネラのような病原性の細菌がお肉や内臓に付着したり、E型肝炎ウイルスなどの人に害を与えるウイルスや寄生虫に感染している場合があります。このため、お肉は新鮮なものかどうかに関わらず、生や加熱不十分なものは重篤な食中毒が発生する危険性があります。
イノシシやシカなどの野生鳥獣(ジビエ)では、さらに危険です。ほとんどの細菌やウイルス、寄生虫は加熱(75℃で1分以上)により死滅します。メンチカツやハンバーグなども動物の種類に関わらず、中心部までしっかり火を通すことが重要です。外側が焼けていても、中は生焼けになっていることがありますので、肉汁や断面の色など見た目での確認も重要です。
また半生又は加熱不十分な鶏肉によるカンピロバクター食中毒も多発しています。これは比較的症状は軽いものの、1-3週間後にギランバレー症候群と呼ばれる神経障害が起こることがあり、稀に呼吸困難や全身の麻痺などの重い症状が出ることもあります。
お肉を食べる際(自宅でも外食でも)には、とにかくしっかりと加熱しているものを食べるようにし、特にお年寄りや子供は注意するようにしてください。

山本Dr.

 

糖尿病について

糖尿病とは血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気の事です。
糖尿病の原因は血糖値を下げる作用のある膵臓の細胞から分泌される【インスリン】と呼ばれるホルモンの分泌量が低下したり、働きが悪くなったりすることです。
インスリンの分泌や働きに異常が出る原因としてもっとも多いのは、高脂肪食、高カロリーなどによる肥満、食物繊維不足などの食生活や運動不足、筋肉不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣などの生活習慣の乱れが9割を占め、2型糖尿病と言われています。また免疫の働きの異常によってインスリンを産生する膵臓の細胞が破壊されることで発症するタイプの糖尿病は1型糖尿病と言われています。
糖尿病自体は無自覚であることが多いですが、血糖値が高い状態が続くことで、血管が傷つけられてしまい、目や腎臓、神経などに合併症を起こしてしまいます。
心筋梗塞や脳梗塞、がん、アルツハイマー、白内障などのリスクも上がるため、毎年の健康診断で血糖値が高めに出ている方は食生活や運動習慣をしっかり見直してみてください。

竹中Dr.

 

乳がんについて

日本人女性の乳がん罹患数は2020年予測で92,300人となっており、がんの中で最も多くなっています。今や、9人に1人が乳がんになる時代です。
乳がん罹患率は、働きざかり・子育て世代の30代後半から急増しています。また30~64歳の世代では乳がんは女性のがんによる死亡数で1位です。乳がんは1個のがん細胞が増殖し、直径1センチの「しこり」になるまでに8年から9年ほどかかると考えられています。その間に発見、診断し適切な治療を受けることが出来れば、多くの場合、治るがんです。(10年相対生存率98.0%)早期発見の為には自己触診や乳がん検診を受けることがとても大切です。
20歳からは自己検診を始め、40歳からは2年に1回マンモグラフィ検診を受けましょう。自己検診は閉経前なら生理開始から1週間後ぐらいの乳房のはりや痛みがなくなり柔らかい状態の時を目安に、閉経後なら月に1度が理想的です。
入浴前などに、見て、触って、つまんで、左右差、しこり、引き攣れ、発赤、へこみ、ただれなどの有無をチェックします。これらの所見は必ずしもがんではありませんが、あれっと思ったら乳腺専門医に相談しましょう。

橋本Dr.