お知らせ

産業医通信 2023年2月号

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします。

Contents

関節リウマチについて
カフェインとの付き合い方
職場で起きやすいハラスメント
不妊治療と仕事の両立

 

関節リウマチについて

関節リウマチは、免疫の異常により、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。全人口の0.5~1.0%にみられ、30~40歳代の女性に多く発症します。軽症の人もいれば重症の人もいて症状は多彩です。典型例では、 手や足の指の関節が腫れて、 特に朝こわばるようになります。その関節症状に加えて貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。
関節リウマチは自己免疫疾患で関節を構成する滑膜という組織に免疫反応を起こし、進行すると、骨や軟骨が破壊されて関節が動かせなくなることもあります。原因は、まだよくわかっていませんが、細菌やウイルスの感染、過労やストレス、喫煙、出産やけがなどをきっかけに発症すると言われています。
関節リウマチは早期の診断と治療が大切なので、関節や骨に腫れや痛みがあり持続する場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。治療は抗リウマチ剤と非ステロイド性消炎剤を基本として、症例によってはステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤が用いられます。

本行Dr.

 

カフェインとの付き合い方

カフェインは、アデノシンの働きを阻害し覚醒を促すとされていますが、作用は個人差が大きいです。カフェインには、覚醒作用、疲労度軽減、反応速度上昇、利尿作用、運動能力向上作用があります。多くのメリットがあり、仕事や運動時のパフォーマンス向上にも役立ちます。また昼寝前に摂取すると目覚めが良くなるとされています。しかし、摂取しすぎると、中毒症状(心拍増加、めまい、震え、下痢、嘔吐、不安)が出ますし、死亡することもあります(カフェイン入りの薬やエナジードリンク等の 大量摂取 によるものが大半で、コーヒーの飲み過ぎによるも のはかなり稀です)。
またカフェインを日常的に摂取している人が急にやめると頭痛・倦怠感等の不調が出ますが、 2 9 日で治ります。妊婦が取りすぎると低体重児が産まれる恐れがあります。カフェインは夜間の睡眠にも影響を与えるので、摂取するのは寝る 8 時間前までにするようにしましょう。カフェインは一般的には、成人で 400mg (マグカップのコーヒー 3 杯)、妊婦・授乳中で 200mg (マグカップのコーヒー 2 杯)とされています。市販の 風邪 薬やチョコレートなどにもカフェインは入っているので、どのようなものにどれくらい入っているか 、一度確認してみると良いでしょう。

山本Dr.

 

職場で起きやすいハラスメント

ハラスメントとは相手の意に沿わない言葉や行動によって不快な思いをさせてしまう
いやがらせを指します。職場で起きやすいハラスメントには①パワーハラスメント②セクシャルハラスメント③妊娠・出産・育児ハラスメント④モラルハラスメントなどが挙げられます。
2016年に厚生労働省が実施した調査では、企業に設置されている相談窓口において最
も相談が多かったのがパワハラに関するものでした。 2019 年 5 月の法改正に伴いパワハラ防止法が成立し、パワハラを防止するために、企業はパワハラに関する相談窓口設置や 社員教育、パワハラが起きたときの迅速な対応や再発防止のための社内方針を明確化し、周知・啓発をすることなどが義務づけられました。
パワハラになる言動は、優越な関係を背景とした言動や業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、労働者の就業環境が害されるもの、これらがすべて満たされるものを指します。皆様の企業ではパワハラ対策はできていますでしょうか?
職場でのハラスメントはパワハラだけではありませんが一度、ハラスメントの事例集などを確認してみることも大切ですね。

竹中Dr.

 

不妊治療と仕事の両立

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(概ね1年)妊娠しないことをいいます。「不妊」の原因は、女性だけにあるわけではなく、約半数は男性に原因があるとされ、検査をしても原因がわからないこともあります。
現在、日本の夫婦の35%が不妊ではないかと心配し、実際に18%が不妊治療を受け、出生数の7%が生殖補助医療により誕生しています。不妊治療には①一般不妊治療(タイミング法、人工授精)②生殖補助医療(体外受精、顕微授精、男性不妊の手術)と、特殊なものとして③第三者の 精子、卵子等を用いた生殖補助療法があります。令和 4 年 4 月現在「不妊の原因検索と原因疾患への治療」と上記の①②については保険適用がなされ、費用の軽減がはかられています。
しかしながら、不妊治療を行っている働く女性の35 %は精神面や体力面での負担が大きいことや、通院回数が多いことなどで仕事と治療の両立ができず、退職したり、治療を諦めたりしてます。優秀な社員が退職することは企業にとっても大きな損失であるため、社会的な両立支援制度が近年徐々に整備されるようになりました。企業には職場での治療の理解を深め、両立を支援す る取り組み、制度を作ることが推奨され、令和 4 年 4 月から不妊治療と仕事との両立がしやすい環境整備に取り組む企業を認定する制度「くるみんプラス」が制定されました。また中小企業に対しては助成金制度も作られました。不妊で悩まれているかたは是非一度治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイト https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/ などを参考にしてください。

橋本Dr.