お知らせ

産業医通信 2023年5月号

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします。

Contents

アルコールチェック義務化について
不整脈について
5月病
高ストレス者を対象とした面接指導について

 

アルコールチェック義務化について

業務使用の自家用自動車における飲酒運転防止対策の強化を目的とする2022年4月の道路交通法の改正に伴い、乗車定員11名以上の白ナンバー車1台以上、または5台以上の白ナンバー車を使用する事業者にも、運転者の酒気帯び有無の確認とその記録を1年間保存するようアルコールチェックが義務化されました。
同年10月1日からは酒気帯び有無の確認方法としてアルコール検知器の使用が義務化される予定でしたが、その部品である半導体不足の影響で製造が追い付かず、事業者に行き渡らない現状を踏まえ、当面の間アルコールチェックは目視で可としアルコール検知器の使用義務化に係る規定を適応しない方針が警察庁から出されています。
ただアルコール検知器が事業者に行き渡る見通しが立ち次第、方針が変更される予定です。事業者様におかれましては今後の動向を注視していく必要があります。
最新情報については、警察庁ホームページ内「安全運転管理者の業務の拡充等」をご覧くださいませ。

松Dr.

 

不整脈について

脈とは心臓の収縮で血液が送り出されるリズムのことです。このリズムが遅い、早い、一定ではない、状態のことを不整脈といいます。
不整脈には多くの種類がありますが、大きく分けると生理的なもの、生理的ではないが治療が不要なもの、治療が必要なものがあります。
不整脈は心臓の筋肉が正しいリズム、もしくは正しい収縮の仕方でないときに起こります。収縮の仕方は正しいがリズムがおかしい
ときは期外収縮などが、リズムは比較的正しいが収縮の仕方がおかしいときは脚ブロックなどが、そしてリズムも仕方もおかしいときは心房細動などが有名です。
普段は正しいリズムであっても突然致死的な不整脈を起こすブルガダ症候群やWPW症候群といった病気もあります。血液の流れが滞ることにより血栓を生じる疾患であることもあります。
健診で不整脈を指摘された場合、要精査のときは必ず循環器内科を受診してください。要経過観察のときも動けなくなるほどの動機や失神があるときは必ず受診が必要です。

宮田Dr.

 

5月病

5月病とは一般的に、4月に入社された新入社員の方が、主に5月の連休明けに心身の不調をきたすものを指します。症状は多様ですが、体の症状では疲労感の自覚や、朝になかなか起きられない、また食欲がなくなる、不眠、頭痛、心の症状では意欲や判断力の低下や焦燥感・不安感などをきたします。
5月病をきたす原因ですが、多くは4月から新しい環境で働くことにより緊張や不安が強い状況が長く持続することでストレスがたまり、そのストレスに対する反応が長期休暇で一気に表面化しやすくなると言われています。症状に大小はあると思いますが、おそらくどなたもご経験があるのではないでしょうか。
その後ストレスを適切に処理出来れば問題はありませんが、ストレスが更に長期化した場合はいわゆる適応障害にもつながり注意が必要です。また周囲の早期の気づきも大事です。
連休明けには体調の確認を周囲からお声がけいただくのもよいでしょう。普段と異なり遅刻や休むことが多くなる、業務のミスが多くなる、元気がないなどの変化がみられる場合には産業医など産業保健スタッフにご相談いただけましたら幸いです。

古谷Dr.

 

高ストレス者を対象とした面接指導について

ストレスチェックは、自分のストレス状況を知ることで、メンタル不調に陥るのを未然に防ぐこと(一次予防)を主な目的としています。
個人結果は仕事のストレス要因、心身のストレス反応などの項目で表示され、プライバシーが守られた形で本人に通知されます。
「高ストレス者」と判定された方は産業医などによる面接指導の対象者となりますが、医師との面接と聞くと身構えてしまい、何を言われるのか、相談内容が上司や人事に漏れないか、などと心配される方が多いようです。
実際の面接は、医師が業務内容の詳細や人間関係など様々な質問をしていく中で、自分自身の働く状況を客観的に振り返り、どうすればより働きやすくなるかを共に考える場となります。医師はストレスによる健康上の問題がないか、心療内科など専門医での対応が必要か、会社に業務上の配慮を依頼した方がいいか、などの観点からも話をお聞きします。
基本的に本人の同意が無ければ伺った内容を会社側に伝えることはありませんし、面接対象者にとって不利益な取り扱い行うことは法律で禁じられています。
高ストレス者となったらぜひ気軽に面接を受けていただければと思います。

赤澤Dr.