産業医通信 2024年4月号

  • 2024年4月5日

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします

Contents

●花粉症の治療とセルフケア
●口唇ヘルペス
●痩せた若年女性でも糖尿病には要注意
●職場巡視について

  

花粉症の治療とセルフケア

花粉に含まれる蛋白質が、鼻や喉、目などの粘膜に溶け、過敏な免疫反応(異物反応)が起きると、鼻水・クシャミ・喉の痛み・涙・頭痛などのアレルギー症状が現れます。これが花粉症で、仕事や勉強などに集中しにくくなるなどQOLを低下させるやっかいな病気です。
日常生活における対策の基本は花粉に触れる機会や量を減らすことで、マスク・うがい・手洗い・洗濯物の室内干しや乾燥機の使用・空気清浄機の使用などが有効です。花粉症の悪化の因子であるストレス・睡眠不足・飲みすぎなどを抑えることも必要です。
治療としては、対症療法として抗アレルギー薬による予防、抗ヒスタミン薬やステロイド薬による症状緩和が行われます。鼻粘膜表面を照射するレーザー治療は、花粉症のシーズン前に行う必要があり、症状は改善しますが花粉症を根治させることはできません。また、いくつかの注射療法もありますが副作用や適応制限、価格面などから一般的とはいえません。
根治療法としては、(現在スギ花粉症に限られ、ヒノキ花粉症にも効果が認められる)舌下免疫療法があります。1日1回アレルゲンを含む錠剤を1~2分間舌の下に入れ、毎日継続して服用するもので、花粉が飛んでいない時期に開始し根本治療に至るまでに最低でも3年は必要とされています。
その他の治療法として、ヨーグルトなどにより腸内細菌が変化することで症状が改善する可能性が期待されていますが、不明な点がまだ多く残されている状態です。
いずれにしても花粉症の症状の程度や薬の効果は個人差が大きいので、症状の重い方は医師と相談されることをお勧めします。

本行Dr.

  

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは主に口の周辺、時には頬や口の中に水疱(水膨れ)を形成し、ぴりぴりとした痛みを伴う疾患です。この症状は単純ヘルペスウイルスの感染により引き起こされ度々再発します。単純ヘルペスウイルスは一度感染すると、潜伏感染し体内にとどまり続けます。風邪などの発熱を伴う疾患・怪我・紫外線・疲労・精神的ストレスなどを契機にウイルスが活性化すると、症状が再発するという特徴があります。ですから働くみなさんにとっては、無理をせず適度に休養をとることが大切です。症状が出たときは飲み薬・塗り薬による治療が可能です。なるべく早く皮膚科を受診しましょう。
再発頻度が高い方に限られますが、事前に飲み薬を処方してもらい、症状を感じたときに自分で治療を始める方法もあります(PIT療法)。度々症状にお困りの場合は皮膚科医師にご相談ください。
症状が出ているときは水疱や唾液に多くのウイルスが含まれています。まれですが症状がなくても唾液を通して感染することもあります。箸・コップなどの食器やタオルの使いまわしを避ける、症状があるときに家族やパートナーに接触しないといった配慮が感染予防に有効です。

額田Dr.

   

痩せた若年女性でも糖尿病には要注意

食後に高血糖となる耐糖能異常は、主に肥満が原因で生じ、糖尿病や心血管障害のリスクとなることが知られています。
日本では、痩せた女性(BMI 18.5未満)の割合が高いですが、意外なことに痩せている若年女性も肥満と同等に糖尿病のリスクが高いことがわかってきました。標準体重(BM18.5-23)に比べて、痩せ型の女性では耐糖能異常の割合が約7倍高いことが明らかになり、その率は米国の肥満者における割合(10.6%)よりも高い率でした。
また、痩せ型の若年女性の特徴として、【①エネルギー摂取量が少なく②身体活動量が低く③筋肉量が少ない】ことがわかりました。痩せ型の若年女性の耐糖能異常の特徴は、インスリン分泌が低下しているだけでなく、主に肥満者の特徴とされてきたインスリン抵抗性も中年肥満者と同程度生じていることが明らかになり、血中の脂肪(遊離脂肪酸)も多く、全身にばらまかれている状態となっています。また体力レベルが低く、糖質からのエネルギーの摂取割合が低く、脂質からの摂取割合が高いということもわかりました。
糖尿病の予防のための取り組みとしては、【①十分な栄養②運動により筋肉量を増やす】のような生活習慣の改善が重要と考えられています。

山本Dr.

   

職場巡視について

職場巡視は、作業環境管理や作業管理の視点で職場の安全衛生上の問題点を見出し改善することを目的としています。産業医と衛生管理者の職場巡視は労働安全衛生法に規定されています。産業医の定期巡視は、毎月1回以上(条件付きで2か月に1回)行うこととされています。2か月に1回の場合は、衛生管理者による巡視結果などの情報が毎月会社から産業医に提供されていることが条件です。衛生管理者の定期巡視は、週1回以上行うこととされています。これら各職種による職場巡視の情報を衛生委員会や各職場巡視時に互いに共有しておくことで、より充実した職場巡視となります。
事業者は産業医に対して、職場巡視を実施する機会と情報を提供しなければなりません。産業医の定期巡視を上手く活用することで、作業環境管理・作業管理・健康管理を有機的に結び付け、職場に起因した健康上の課題の改善につなげることができます。また、産業医が職場巡視を通して業務内容の理解を深めておくことは、労働者の適正配置の判断にも役に立ち、職場の風土や企業自体への理解にもつながります。
職場巡視を「実施するだけ」にせず、PDCAサイクルの中でさらなる改善を目指していきましょう。

鹿島Dr.

 

産業医通信2024-04-1

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