産業医通信 2024年2月号

  • 2024年2月6日

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします

Contents

●ストレートネックの改善と予防
●膀胱炎について
●睡眠について
●脂質異常症について

ストレートネックの改善と予防

正常な首の骨のカーブが失われ、首の骨が真っすぐになってしまった状態をストレートネックといいます。原因は、長時間のスマホ使用、パソコンを使った長時間のデスクワーク、姿勢が悪い座り方などです。
肩や首、背中、腰などのこりが主な症状ですが、重症化すると痛みやしびれ、背骨の変形によるヘルニアなどにもなります。
【ストレートネックのチェック方法】
壁にお尻と背中を付けて立ち、頭・肩・お尻・かかとの4か所が自然と壁についているか確認します。頭が壁から離れていたり、無理をしないとくっつかない場合は、ストレートネックになっている可能性が高いです。
【改善・予防方法】
①スマホ使用時の姿勢を改善する(顔の正面か視線がほんの少し下がるほどの位置で見る)。
②デスクワーク時の姿勢を改善する(骨盤を立てる・足を地面に付ける・背筋をのばす)。
③適度に休憩をとる(スマホやパソコンを使う時は30分に1回は休憩をとる)。
④睡眠時の枕の高さに気をつける(高すぎ・柔らかすぎはNG)。
⑤首周りのストレッチをする。

鹿島Dr.

膀胱炎について

膀胱は腎臓で作られた尿を溜めるための、内側は柔らかい粘膜でできている袋です。大腸菌などの細菌が尿の出口である尿道口から逆行して、膀胱粘膜に感染して起こるのが膀胱炎です。
尿道が短く、また膣と尿道が近い女性に圧倒的に多く、頻尿、排尿時痛、尿の混濁、残尿感などをおこします。細菌が膀胱からさらに上流の尿管を経て腎臓にまで逆行すると、腎盂腎炎を発症し、高熱や背部痛、さらには敗血症なども引き起こす事もあります。
通常、膀胱に細菌が多少入っても、きちんと排尿すれば尿と共に細菌は排泄されて、膀胱炎を起こさずに済むのですが、長時間排尿を我慢したり、種々の原因で残尿があったり、睡眠不足、ストレス、高齢などで免疫力が低下している場合は、容易に膀胱炎を引き起こします。
治療法は、感染した細菌に効果のある抗生物質を(症状が消えてからも)一定期間服用する事ですが、生活習慣の見直し(水分をたくさん取る、睡眠を十分にとりストレスを減らす、尿を我慢しない、外陰部を清潔にする、排便後は前から後ろに拭く、など)で予防したり治療効果を高めることができます。
男性は膀胱炎より前立腺炎になる場合が多いのですが、膀胱がんや前立腺がん、性感染症(クラミジア)などが原因の事もあるため、泌尿器科を受診していただくことをお勧めします。

橋本Dr.

睡眠について

【①運動は睡眠を良くする】
睡眠の質を良くする方法として運動が良く知られています。一過性の運動だけでも睡眠の質は良くなり、睡眠時間が長くなると報告されていますが、習慣的な運動ではさらに効果が高くなり、睡眠時間を増やし、中途覚醒を減少させると言われています。
また運動は睡眠中の血圧を下げ、体温を上げるという報告もあり、身体にも良い影響があると考えられます。睡眠の質がイマイチという方は、ぜひ習慣的な運動を取り入れてみてください。
【②睡眠時無呼吸症と居眠り事故について】
睡眠時無呼吸症は、一般人口の3%と有病率が比較的高い疾患です。重症度にもよりますが、一般には日中に強い眠気をきたします(高血圧なども)。
居眠り事故の中には、睡眠時無呼吸症の割合も高いと推察されています。睡眠時無呼吸症患者では交通事故が2.5倍増えるという報告もあり、重症の場合には最大で4倍ほど増えるとも言われています。
ちゃんと寝ているはずなのに日中の眠気が強いという場合には、一度睡眠外来を受診してみてください。

山本Dr.

脂質異常症について

脂質異常症とは、LDLコレステロールが高い、HDLコレステロールが低い、中性脂肪が高い、のうち1つ以上の異常があることを言います(以下コレステロールはchと略します)。
LDL-chには肝臓に蓄えられたchを全身へ運ぶ働きが、HDL-chには余分なchを全身から回収し、肝臓へ戻す働きがあります。
LDL-chは本来、細胞膜、ホルモン、胆汁酸等の原料になるため、身体にはなくてはならないものですが、増えすぎると血管の壁に入り込んで動脈硬化を進めるので悪玉chと呼ばれています。一方、HDL-chは余ったchを回収するので、善玉chと呼ばれています。中性脂肪はエネルギー源として働くものですが、増えすぎるとLDL-chを増やし、酸化・小型化(超悪玉-chに)して、血管壁に取り込ませやすくする作用やHDL-chを減少させる作用があります。
脂質異常症は、それ自体に自覚症状がなく放置されがちですが、確実に動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めるので「動脈硬化の最大の危険因子」と言われています。
脂質異常症は過食や運動不足に加えて、脂質や糖分の多い高カロリー食に偏りがちの人などに起こりやすく、遺伝によるものや、肝臓病、糖尿病、甲状腺機能低下症などの病気が原因となって起こるものもあります。
脂質異常症の対策としては、内服治療の有無にかかわらず内臓脂肪を落とすことが大事で、食事の摂取カロリーや動物性の脂を減らし、運動でエネルギー消費を増やすことが重要です。
繊維質(野菜)は、chの吸収を抑える効果があります。タバコはLDL-chを超悪玉化し、アルコールは中性脂肪を増やすのでどちらも控えるべきです。

本行Dr.

産業医通信2024-02

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