産業医通信 2025年3月号

  • 2025年3月6日

毎月産業医の先生より旬の情報をお届けいたします

Contents

●働く女性の健康課題と支援
●1日どれくらい運動すればいいのか
●寒暖差アレルギーについて
●労働災害の防止策

  

働く女性の健康課題と支援

働く女性の健康課題は多岐にわたります。
女性特有といえるものは生理痛や更年期障害が挙げられるでしょう。また、女性には育児や介護での負担が男性よりも大きいことが多く、過労やメンタル不調のリスクがあるといえます。一般的に筋力が男性より劣るため、腰痛や関節痛のリスクもあります。
これらに対する支援策としては、働き方の面ではフレックスタイムやリモートワークの併用、職場環境の面では労働安全衛生法にもある休養室の設置やカウンセリングサービスの導入があります。
また、職場の理解を深めるためのメンタルヘルス研修やハラスメント研修も有効でしょう。
重量物の取り扱いや同一姿勢での作業を避ける、補助器具を導入することも大切です。

宮田Dr.

   

1日どれくらい運動すればいいのか

健康を保つために運動が重要であることはよく聞く話ですが、実際に体をよく動かす人はそうでない人と比べて心臓病・糖尿病・がん・ロコモティブシンドローム・うつ病・認知症などの発症リスクが低いことが報告されています。
またWHO(世界保健機関)は死亡に対する危険因子として、高血圧・喫煙・高血糖に次いで、運動不足を第4位に位置付けています。
厚生労働省は健康に過ごすために必要な活動量の基準として「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」をまとめました。
これによると18~64歳の成人では『歩行か、歩行と同程度以上の身体活動を1日60分(約8,000歩相当)以上、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分』行うことが推奨されています。また座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにすることにも注意を促しています。
身体活動(運動)は何分以上継続しなければ効果がないというものではなく、短い時間の積み重ねでも健康増進効果が得られます。
エレベーターでなく階段を使う、仕事中に時々立ち上がって体を動かすなど、普段の生活でコツコツと動くことを意識してみましょう。

赤澤Dr.

   

寒暖差アレルギーについて

寒暖差アレルギーとは、花粉症と似たような症状ですが、原因が花粉ではなく7℃以上の寒暖差によって鼻の粘膜の自律神経の調節が崩れてしまうものを指します。
一般的には30歳~40歳台の女性、ストレスが多い方、生活習慣が乱れている方がなりやすいとされます。症状は鼻水・鼻詰まりが多く、倦怠感、蕁麻疹が出る場合もあります。花粉症と似ていますが、花粉症とは異なり目の痒みや充血はみられないことが特徴です。
寒暖差アレルギーの予防には、保湿スプレーや加湿器で鼻の粘膜の乾燥を防ぎ、急激な体温の変化を避けるため適宜服装を調節、マスクを着用いただくことが有効です。また、規則正しい生活を心がけていただくことも重要です。
これから花粉症の季節となりますが、目の痒みなどがない場合は寒暖差アレルギーの可能性もございますので、ご留意いただけますと幸いです。
もし疑われる場合は、症状に応じてお近くの医療機関にてご相談をご検討ください。

古谷Dr.

   

労働災害の防止策

労働災害の防止策は、労働者の安全と健康を守るために不可欠です。労働災害防止のための主要な対策をいくつか紹介します。
安全衛生教育の徹底:労働者に対する安全衛生教育は、労働災害を未然に防ぐための基本です。特に新規雇用者や外国人労働者には、母国語での教育や視聴覚教材を用いた分かりやすい指導が求められます。
職場環境の改善:職場の物理的環境を整えることも重要です。例えば、転倒防止のために床の段差を解消し、滑りにくい素材を使用することが推奨されます。
安全装置と保護具の使用:機械による「はさまれ・巻き込まれ」事故を防ぐためには、安全装置や保護具の適切な使用が不可欠です。例えば、インターロック式の安全装置を導入することで、機械作業中の事故を防ぐことができます。
リスクアセスメントの実施:職場で発生しうる危険性を事前に評価し、それに基づいて適切な対策を講じるリスクアセスメントは、労働災害防止において重要な役割を果たします。
特に化学物質を扱う現場では、適切なラベル表示や安全データシート(SDS)の活用が求められます。

本塚Dr.

   

産業医通信2025-3

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